御聖訓
令和7年(2025年)10月度 御報恩御講拝読御書
内房女房御返事(うつぶさにょうぼうごへんじ)
(弘安三年八月十四日 五十九歳御述作)
妙法蓮華経の徳(とく)あらあら申(もう)し開(ひら)くべし。毒薬(どくやく)変(へん)じて薬となる。妙法蓮華経の五字(ごじ)は悪(あく)変じて善(ぜん)となる。玉泉(ぎょくせん)と申す泉(いずみ)は石(いし)を玉(たま)となす。此の五字は凡夫(ぼんぶ)を仏(ほとけ)となす。されば過去(かこ)の慈父(じふ)尊霊(そんりょう)は存生(ぞんしょう)に南無妙法蓮華経と唱(とな)へしかば即身成仏(そくしんじょうぶつ)の人なり。石(いし)変じて玉(たま)と成(な)るが如(ごと)し。孝養(こうよう)の至極(しごく)と申し候(そうろう)なり。
(御書1492頁10行目-12行目)
<通釈>
妙法蓮華経の功徳をおおよそ申し上げ明らかにしよう。「毒薬変じて薬となる」と説かれている。妙法蓮華経の五字は悪を善に変える。玉泉という泉は石を玉にする。(同じように)この五字は凡夫を仏にする。よって、先に亡くなった慈父尊霊は、生前に南無妙法蓮華経と唱えたので即身成仏の人である。石が変じて玉となるようなものである。(このように親を妙法へ導くことを)この上ない孝養というのである。