横浜 應顕寺史-2

2. 慈含山應顕寺の設立

 日應上人御遷化の地、神奈川に寺院を建立し御報恩に供することは、第3代法道院主管観妙院日慈上人の強い願いでした。
 昭和48(1973)年6月に法道院(東京豊島区)で行われた日應上人御正当会法要の折の法話で、観妙院日慈上人は、法道院に依る数ケ寺の寺院建立計画を発表されました。その中で「寺院建立について、どうしても私が命のある内にやらなければならないのが、神奈川へ建てる日應上人のお寺です。これはどんなことをしてもやらなければならない。(中略)これは私の一生の念願です」と述べています。
 観妙院日慈上人は、昭和51(1976)年6月の日應上人御報恩御講の時期より本格的に適地をさがしはじめ、7年後の昭和58(1983)年2月に現在地を取得しての、3か月後の5月に起工式が行われました。
 同年12月26日に、第67世御法主日顕上人猊下の大導師のもとに落慶入仏式は、盛大かつ厳粛に奉修されました。慈含山応顕寺の初代住職には舟橋義秀師(現 宝浄寺第2代住職 慧行院日謙御能化)が就任しました。
 山号は日應上人の所化時代の御名の慈含から、また寺号は日應上人の應(応)の一字と、日顕上人猊下を中興開山と仰ぎ顕の一字から頂戴したものです。

 御法主日顕上人猊下の落慶入仏式の『慶讃文』に:
 『日應上人の法孫たる東都法道院主管観妙院日慈師、かねてより同教会の廃絶せるを深く憂い(中略)ここに寺域を求め堂宇を建立し、以って日應上人有縁の神奈川教会所復興の素志をあらわす。寔に是れ仏祖三宝の御嘉納遊ばさるるところと云うべし。日顕、その縁由に鑑みて此の寺を慈含山応顕寺と命名。(以下略)』       (『大日蓮』昭和五十九年二月号)

 応顕寺は発展の一途をたどり、信徒の増加によって、従来の境内地、境内建物では不便をきたすようになりました。
 大石寺開創七百年そして同寺創立七周年にあたる平成2(1990)年7月に、客殿並びに庫裡の増築、及び寺域の整備を完了し落慶法要が執り行われました。創立当時の本堂120畳、客殿20畳、控室10畳に加え、新たに45畳の客殿が新築され(旧来の客殿は控室に転用)、建坪面積が約820㎡から同1050㎡に拡大しました。
 平成21(2009)年に隣地を取得し、参詣者の便を図る為の駐車場(約50台分)を新設しました。


3. 法華講應顕寺支部の結成

 創価学会は、平成2(1990)年末より、正法日蓮正宗の三宝破壊と教義遺背等々を平然と行うようになり、宗門の再三の戒告にも拘らず益々の謗法行為を極めた為に、翌3(1991)年11月28日に宗門より「創価学会破門通告」を受けるに至りました。
 かねてより預かっていた神奈川県の法道院法華講員と正法の信仰を求めて創価学会を脱会した信徒が、異体同心して正法厳護・邪義破折に励んでいましたが、次第に応顕寺法華講支部を結成する機運が高まりました。
 時局を鑑みた観妙院日慈上人は時期を同じくして、神奈川県在住の法道院法華講員約270世帯を応顕寺に移籍する手続きを取られました。
 移籍した法華講信徒及び学会を脱会して新たに応顕寺所属となった信徒が一体となり、同3(1991)年9月18日、法華講応顕寺支部組織の申請を行い、翌月12日付で宗務院より許可されました。
 その年末12月22日、神奈川布教区内及び有縁の僧侶の臨席、また法華講法道院支部を始めとする近隣の法華講員等来賓も得て、多数の新支部講員が集い、異体同心の信心を基に「再折伏に獅子吼の叫び」「憶持不忘の法華講」のスローガンを掲げた結成式が盛大に挙行されました。更に総本山第68世御法主日如上人猊下(当時 宗務院庶務部長)直々の御臨席を賜った上、御慈悲溢れる激励を戴きました。
 爾来、横浜駅、新横浜駅に近くにして法華講応顕寺支部は、神奈川県下の中心的講中として広布弘教の勇猛精進を継続し、今日に至っています。

4. 神奈川教会所と應顕寺の略年表

  明治35(1902)年       高津たき氏 日蓮正宗に入信
  大正 5 (1916)年       同氏経営の旅館にて毎月の布教講演会を開始
  大正10(1921)年 3 月25日  日應上人大導師のもと神奈川教会所の落慶入仏式を奉修
  大正10(1921)年 6 月15日  日應上人、神奈川教会所において御遷化
  大正12(1923)年 9 月 1 日  関東大震災により、表玄関倒壊,屋根,壁等破損  
  昭和 9 (1934)年 9 月28日  納骨塔建立の落成式執行
  昭和15(1940)年 2 月 1 日  高津たき氏逝去(享年75歳)
  昭和17(1942)年10月20日  法華講浄心講支部の結成認可
  昭和20(1945)年 5 月29日  横浜空襲に因り、神奈川教会所焼失
  昭和22(1947)年12月10日  神奈川教会所の解散届提出・受理
  昭和48(1973)年 6 月15日  観妙院日慈上人、神奈川教会所の再興を発表
  昭和58(1983)年 2 月17日  横浜市神奈川区中丸に2千余坪の土地を取得
      同   年 5 月 6 日  起工式の挙行
      同   年12月26日  第67世日顕上人の大導師により慈含山応顕寺の
                落慶入仏法要
  昭和61(1986)年 9 月12日  宗教法人応顕寺の設立
  平成 2 (1990)年 7 月 5 日  創立七周年記念兼客殿・庫裡増築法要の執行
  平成 3 (1991)年10月12日  法華講応顕寺支部の結成許可
      同   年12月22日  法華講支部結成式の挙行