種々御振舞御書(しゅじゅ おふるまい ごしょ)
(建治二年 五十五歳 御述作)
仏滅後二千二百二十余年が間、迦葉(かしょう)・阿難(あなん)等、馬鳴(めみょう)・竜樹等、南岳・天台等、妙楽・伝教等だにもいまだひろめ給(たま)はぬ法華経の肝心、諸仏の眼目(げんもく)たる妙法蓮華経の五字、末法の始めに一閻浮提(いちえんぶだい)にひろませ給ふべき瑞相(ずいそう)に日蓮さきがけしたり。わたうども(和党共)二陣三陣つゞきて、迦葉・阿難にも勝(すぐ)れ、天台・伝教にもこへよかし。
(御書1057頁)
釈尊の滅後二千二百二十余年間、迦葉尊者・阿難尊者・馬鳴菩薩・竜樹菩薩・南岳大師慧思・天台大師・妙楽大師・伝教大師等でさえ、未だ弘められなかった法華経の肝心にして、諸仏の眼目である妙法蓮華経の五字を、末法の始めに一閻浮提に弘まるべき前兆として日蓮が先駆けしたのである。我が弟子檀那等よ、二陣三陣と続き、迦葉・阿難よりも勝れ、天台・伝教をも超えていきなさい。
*迦葉・阿難:釈尊十大弟子のうち、頭陀第一の迦葉、多聞第一の阿難のこと。
*馬鳴・竜樹:釈尊滅後、馬鳴は「大乗起信論」を、竜樹は「中論」「大智度論」百巻等を著作し、インドで大乗仏教を宣揚した。
*南岳大師:天台大師智顗の師匠。
*天台大師:中国天台宗の開祖。五時八教判によって法華最第一を打ち立てた。
*妙楽大師:中国天台宗の第六祖。
*伝教大師:比叡山に日本天台宗を開いた最澄のこと。
*和党ども:大勢の人に対する親しみを込めた呼びかけ。仲間・同志の意。
